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No.125 August.28, 2016
 
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浙江千島湖
 
目 録
ニュース
商標局が「類似商品と役務区分表」以外の受入れ可能な商品・役務の項目名を公表
中国が初めて世界イノベーション指数で25位にランクイン
工商総局:中国の商標保有数は市場主体一万あたり1,389件
国家発展改革員会:上半期中国国内特許付与数16万4,000件、前年同期比41%増
注目判決
「魔獣世界(WORLD OF WARCRAFT)」オンラインゲーム訴訟における差止命令
商標「啓航考研」先使用により権利侵害とならなかった事件
ホンダ自動車の意匠権非侵害の確認および損害賠償事件
集佳の最新動向
WIPO(世界知的所有権機関)視察団が集佳上海事務所を視察
 
 
ニュース

 
商標局が「類似商品と役務区分表」以外の受入れ可能な商品・役務の項目名を公表

 

 商標登録を便利にし、商標公共サービス水準を高め、出願人のオンライン検索と商標登録出願に便宜を図るため、商標局は7月13日および8月23日の2回に分けて、受入れ可能な商品・役務の項目名、合計2,500個を商標登録出願のために公表した。

 
中国が初めて世界イノベーション指数で25位にランクイン

 

  ハック国連事務総長報道官は15日ニューヨークの国連本部で、スイスが世界イノベーション指数の首位を守り、中国は今年初めて25位にランクインしたと述べた。2016年世界イノベーション指数は当日、国連の専門機関である世界知的所有権機関、アメリカのコーネル大学などの機関によってスイスのジュネーブで共同発表された。

  世界イノベーション指数は2007年から毎年発表されており、今年のランキングは依然として昨年1位のスイスで、スウェーデン、イギリス、アメリカ、オランダ、シンガーポールなどが続く。アジアでは上位にランクインしたのは、11位の韓国、16位の日本、また香港特別行政区は14位で、昨年29位の中国は今年初めて25位に順位を上げた。世界知的所有権機関によると、これまでの9年間、世界の100以上の国と地域のイノベーション力について行った調査において、高度発達経済体は世界イノベーション指数において一貫して主導的地位を占めており、中国の進歩が中国のイノベーションにおけるパフォーマンスに反映され、絶えず改善されている。

  世界知的所有権機関は、中国が台頭しつつあっても、先進国と発展途上国の間には依然として「イノベーションギャップ」が存在し、政策決定者らによってイノベーションの強化が経済体の溢れる活力と競争力のカギであることを徐々に認識されつつあるものの、その認知度には依然としてばらつきがあると表明している。

  2016年の世界イノベーション指数ランキングの中で、日本、アメリカ、イギリス、ドイツは、「イノベーションの質」の面で傑出している。「イノベーションの質」は、高等教育機関の水準、科学出版物および国際特許の出願件数が考慮された一つのトップ指標であり、中国は「イノベーションの質」の面で17位に順位を上げ、中等収入の経済体では首位となり、その次はインドであった。

  コーネル大学ジョンソン経営大学院のソウミトラ・デュッタ学部長によると、投資はイノベーションの質を高め、イノベーションギャップの縮小にとって極めて重要である。各種機構がこのために基本的枠組みを構築したとしても、急速に進展するグローバル化による競争に対応するためには、各経済体がなお教育改革、自己の研究能力の向上に注目すべきだと指摘した。(出所:中国新聞ネット)

 
工商総局:中国の商標保有数は市場主体一万あたり1,389件

 
   

  2016年は中国とASEAN(東南アジア諸国連合)の対話関係樹立25周年にあたる年である。目下、工商総局(中国国家工商行政管理総局)が北京で開いた記者会見で得た情報によると、第2回中国・ASEAN工商フォーラムは今年9月12日に広西チワン族自治区・南寧市で開催される予定で、今回のフォーラムのテーマは「商標ブランド保護と発展」である。

  国家工商総局弁公庁主任で広報官の於法昌氏は、商標ブランドの発展状況は一国の経済活力のバロメータとなる。中国は商事制度改革を実施して以来、企業数の大幅な伸びと商標ブランド意識の高まりに伴い、商標ブランド確立の成果が顕著に表れていると述べた。

  統計によると、今年6月末までに、中国の商標の累積出願件数は2,014万3,000件、累積登録件数は1,325万7,000件、有効商標登録件数は1,122万3,000件で、初めて「商標累積出願件数、商標累積登録件数、有効商標登録件数」の3つの1,000万件超えを実現した。現在までに中国の市場主体一万あたりの商標保有件数は1,389件となっている。(出所:法制日報)

 
国家発展改革員会:上半期中国国内特許付与数16万4,000件、前年同期比41%増

 
   

  上半期、中国の経済情勢は安定しており、さらに喜ばしいことに、経済構造の戦略的調整にプラスの変化が現れ、戦略的新興産業とハイテク産業は相対的に速い成長を保ち、新経済の発展・新エネルギーの創出が加速し、イノベーション主導型発展、産業の構造転換と高度化、就業の安定・維持に対しプラスの作用を発揮している。

  第1に、新興産業がけん引し支えている強みが際立っている。上半期、戦略的新興産業増加値は前年同期比11%増で、全国規模以上の工業を5ポイント上回り、うち第2四半期は11.8%増で、第1四半期に比べ1.8ポイント速まった。一定規模以上のハイテク製造業の増加値は前年同期比10.2%増で、一定規模以上の工業に比べ増加値が4.2ポイント速まった。ここ5か月で、一定規模以上のハイテク製造業の利益総額は前年同期比17.1%増で、同期の工業と比べ10.7ポイント高い。27の戦略的新興産業重点モニタリング業界の一定規模以上の企業の利益の増加速度は15.9%に達し、前年同期と比べ1.5ポイント高く、同期の工業と比べ9.5ポイント高くなっている。

  第2に、ハイテク産業投資のけん引的役割が際立っている。上半期ハイテク産業分野の集積回路、民間用空間インフラ、遺伝子プロジェクトなど一群の重大プロジェクトに着手し、ブロードバンドなど情報インフラの建設を積極的に推進している。上半期、ハイテク産業投資1兆5,622億元で、13.1%増、全投資額に比べ4.1ポイント高く、全投資の6%を占め、前年同期に比べ0.2ポイント高まった。そのうち、ハイテクサービス業投資は5,811億元,前年同期比16.4%増であった。民間ハイテク製造業への投資は活発である。上半期、登録類型が私営のハイテク製造プロジェクトへの投資は15.9%増、すべての民間投資に比べ13.1ポイント速い。

  第3に、社会全体のイノベーション・起業の熱が高まり続けている。共産党中央国務院は「国家イノベーション主導型発展戦略綱領」を発表し、8つの全面的イノベーション改革モデル地区の実施法案が国務院で批准されており、イノベーション駆動の各改革への取り組みをさらに推し進め、社会全体のイノベーション起業への意欲を効果的に刺激した。今年以降、大衆創業・万衆創新(大衆による起業・万人によるイノベーション、双創)事業は引き続き新たな局面を切り開いている。国務院は「大衆創業・万衆創新モデル拠点の建設に関する実施意見」を発表し、初めて双創モデル28拠点の建設が決定した。「2015年中国大衆創業・万衆創新発展レポート」が正式に発表された。各種市場主体と起業への投資は引き続き急速な成長を見せている。上半期、全国の新設市場主体は1日平均で4万を超え、新たに登記される企業は1日平均で1万4,000社となった。国内の特許付与数は16万4,000件で、前年同期比41%増となった。上半期、起業投資新募集基金投資総額は57%増で、新三板(店頭登録)市場では2,559社の企業がまた新たに上場し、より多くの起業投資の迅速な撤退のためにルートを提供した。2016「創響中国(イノベーション・チャイナ)」など一連のイベントで双創の世論誘導、双創の環境最適化、双創の理念伝播、双創の活力向上を強く打ち出した。

  第4に、新経済の安定した成長が就業を促す作用が顕著に現れている。インターネット+人工知能、インターネット+現代農業など3年行動計画が相次いで公布、実施され、新興業態は発展を加速しており、情報経済の規模も絶えず拡大している。上半期、全国ネット販売額は2兆2,000億元を超え、前年同期比28.2%増となった。新経済の発展による税収、就業などの面への貢献が顕著になり始めた。上半期、宇宙設備製造、医薬品製造の税収はそれぞれ11.1%増、12.2%増で、ソフトウェアと情報技術サービスの税収は39%増で、第三次産業の税収の比較的速い増加をけん引する重要な力となっている。2015年、戦略的新興産業の上場企業の所得税は前年同期比16.8%増で、上場企業全体を10.9ポイント上回った。また、オンラインとオフラインを結び付ける「インターネットプラス」、供給経済の新モデルの力強い発展は、便利な生活、雇用先確保、起業の支援などの面への顕著な貢献が見られ、また生産生活分野への拡大を加速している。

  第5に、新興産業が地域成長の新エンジンとなっている。国内の一部地域ではイノベーション主導型発展を重視したことにより、新興産業の発展における分布が比較的速く、下降の圧力が普遍的に強まる状況においても、依然として安定成長を維持し、構造調整の情勢も良好である。例えば、近年、深センではイノベーションを大いに支援、推進し、戦略的新興産業の付加価値は年平均で20%以上の伸びを示しており、同期GDPの成長速度の2倍となり、2015年のGDPに占める付加価値の割合は40%に達し、高い起点での持続的で高い質の成長を実現し、「深センで加工―メイドイン深セン―深センのイノベーション」の重大な転換を実現し、現地の経済に新たな成長のためのエンジンを打ち立てただけでなく、さらに周辺地域の経済モデルの転換による発展にけん引的役割、模範的で連動的な作用を発揮している。今年上半期、深センのGDPは8.6%増で、全国平均水準を1.9ポイント上回り、財政収入の増加速度はさらに24.6%高くなった。

  第6に、対外貿易構造にプラスの変化が現れた。国際市場の低調な動きが続く影響を受け、上半期、中国のハイテク製品の輸出額は前年同期比7.9%減(ドル換算)で、主に加工貿易の落ち込みが速かったが、一般貿易は依然として安定成長の情勢を呈している。一部の高付加価値製品の競争力は強く、集積回路の輸出は2.9%の小幅な伸びを見せた。また、中国のサービス輸出のうち、ハイテクサービスの輸出の割合は増加し続けている。上半期、中国の企業のオフショア情報技術のアウトソーシング、業務フローのアウトソーシング、知識フロー程のアウトソーシングの実行額はそれぞれ934億9,000万元、320億2,000万元、706億1,000万元で、前年同期比でそれぞれ7.5%、26.9%、6%増となり、それぞれ全体の47.7%、16.3%、36%を占めた。クロスボーダーeコマースがサプライチェーン管理サービス、データ処理、ネットマーケティング普及サービスの急速な成長をけん引し、業務フローのアウトソーシングの急速な発展を促した。(出所:発展改革員会ウェブサイト)

 
注目判決

 
「魔獣世界(WORLD OF WARCRAFT)」オンラインゲーム訴訟における差止命令

 

  事件の概要:

  暴雪娯楽有限公司は「魔獣世界」シリーズのゲームの著作権者で、上海網之易網洛科技発展有限公司はこのゲームの中国大陸地域における独占運営企業である。両原告は、成都七游科技有限公司(以下、「七游公司」)が開発し、北京分播時代網洛科技有限公司(以下、「分播時代」)が独占運営し、広州市動景計算機科技有限公司(以下、「動景公司」)がダウンロードを提供する係争対象物であるゲーム「全民魔獣」(原題「Chieftain Thrall」)はその美術の著作物の著作権を侵害しており、それとともに、分播時代公司が原告の有名なゲームの名称を無断で使用し、装飾し、虚偽の宣伝を行った不正競争行為を構成すると考えた。両原告は訴訟の提起とともに差止めを申し立てて、法院に直ちに三被告の権利侵害行為を停止する差止命令の発令を求め、1,000万元相当の現金による担保を提供した。広州の知識産権法院は双方の聴聞を行った後、差止命令を発し、差止命令の効力を本件判決の発効日まで維持するとし、差止期間中にこのゲームのプレイヤーに影響が出ないよう残高の確認および返金などのサービスを提供した。差止命令が発令された後、七游公司と動景公司は自動的に決定を履行し、分播時代公司は法院の督促と説明の後に決定を履行した。七游公司と分播時代公司は差止めの決定に対し不服申立てを行い、審理した法院が法に基づいて申立てを棄却した。

  コメント:

  本件は差止めの手続き要求を厳格に順守し、差止めの実体要件を厳格に審査し、その過程は規範的で、適法である。差止めが「積極的かつ慎重、合理的かつ有効」であることを保障するため、本件では法院が原告の勝訴の可能性および補てんが困難な損害を受けていないかという点について重点的に審理した。係争ゲームがオンライン上に出現することで、ゲームの市場シェアが確実に奪われ、しかもオンラインゲームは運用期間サイクルが短く、伝播速度が速く、広範にわたるという特徴があり、原告にもたらした損害を計算、数値化することが困難であり、また係争ゲームが低俗なマーケティング方法を用いたことも、原告の営業上の信用を傷つけることになるといった点を考慮し、差止命令が下された。それと共にゲームプレイヤーの利益も考慮され、差止期間中に該当ゲームのプレイヤーに影響が及ばないよう残高確認および返金などのサービスが提供された。本件では、法廷が知的財産権の司法による保護の強化の決意が十分に示され、関連公衆および業界関係者も本件差止命令の交付に対しプラスの評価を多く持ち、比較的良好な社会的効果を実現した。本件は2015年9月に最高人民法院が公表した知的財産権に関する法院の典型事例に選ばれている。

 
 
商標「啓航考研」先使用により権利侵害とならなかった事件

 

  事件の概要:

  貴陽市雲岩区の啓航英語培訓学校(啓航英語研修学校)は、2003年に第41類の学校(教育)などを指定役務として「啓航学校Qihang School」の商標登録を行うとともに、北京中創東方教育科技有限公司(以下、「中創公司」)に、商標の独占的な使用を許可した。中創公司は北京市海淀区啓航考試培訓学校(北京市海淀区啓航受験研修学校)(以下、「啓航考試学校」)および北京市啓航世紀科技発展有限公司(以下、「啓航公司」)が共同で運営する啓航世紀ウェブサイト、配布する広告宣伝資料、名刺、教材などに、および対外的な加盟行為において、係争商標に類似した「啓航考研」などの標識が使用されていることを発見し、上述の行為がその所有する商標権を侵害していると考え、直ちに法院に訴訟を提起した。啓航考試学校は1998年に設立され、啓航公司は2003年に設立された。 1998年から2001年の間に、啓航考試学校は中国人民大学出版社から出版された各種試験参考書を編纂している。啓航考試学校および啓航公司は、自身が先に登記し使用しており、また知名度の非常に高い企業名および屋号の使用であり、中創公司の所有する商標権を侵害していないとの認識であった。北京市海淀区人民法院および北京知識産権法院はいずれも、商標「啓航」の出願日、つまり2001年10月 18日より前に、啓航考試学校が公式に出版された書籍に「啓航考研」という文字を使用しており、さらにメディアを通して「啓航考研」の生徒募集に関する情報を発しており、かつ一定の規模があり、商標法第59条第3項の適用要件に合致しており、商標権の侵害に当たらないと判断した。

  コメント:

  商標法第59条第3項では、他人が先に使用し、一定の影響を持つ商標について、商標権者はその既存の範囲内での継続使用を禁じる権利を持たないが、標識の適切な区別を加えるよう要求することができる旨が規定されている。当該条項は商標法の第3回改正で追加された内容であり、司法実務において条項が適用された案件はまだ多くは見られないが、理論上具体的な適用要件については見解が分かれる。本件ではこの条項の適用要件について十分な分析と整理が行われ、先使用の時期、一定の影響についての判断および既存の範囲などについてどれも詳細に述べられており、この類の案件の審理にとって手本としての値打ちがある。

 
 
ホンダ自動車の意匠権非侵害の確認および損害賠償事件

 

  事件の概要:

  本田技研工業株式会社(以下、「ホンダ」)は石家庄双環汽車股份有限公司(以下、「双環自動車」)に自動車の意匠権を侵害した疑いがあることを理由として、2003年に警告書を発するとともに、法院に意匠権侵害の訴訟を提起した。

  双環自動車が2003年10月16日に石家庄市中級人民法院にその生産販売する係争自動車の意匠が係争意匠権を侵害していないことの法による確認を求める訴えを起こしていた。それに続いて、国家知識産権局専利復審委員会に係争意匠権に対する無効審判を請求した。双環自動車は、係争意匠権を無効とする審決が言い渡され、一審、二審の行政訴訟で維持された後も、ホンダが引き続き権利侵害の警告書を発し、双環自動車の係争自動車の販売開始を遅らせ、さらに再度製品の外観および金型に改造を行ったために、その経済損失が発生したことを理由に、2008年4月26日、提起した非侵害確認訴訟の中で、訴訟請求を追加し、ホンダに対してその経済損失および弁護士費用、評価費用、訴訟費用の合計2,579万1,390元の賠償金の支払いを命じるよう法院に求めた。ホンダは係争意匠権を無効とする判決を不服として、再審請求を行い、最高人民法院は係争意匠権の効力を2010年11月26日とした (2010)行提字第3号行政判決において、審決を撤回する判決を下した。意匠権が回復された後、ホンダは権利侵害の賠償額を引き上げ、双環自動車などを相手取って、河北省高級人民法院に係争意匠権侵害訴訟を起こした。

  本件は最高人民法院の裁定を経て河北省高級人民法院を一審法院とし、石家庄市中級人民法院が審理した非侵害確認訴訟を当該法院に引き上げて、意匠権侵害に関する紛争事件との合併審理を行った。河北省高級人民法院は2013年1月16日に個別に立件して審理を行った。双環自動車は2013年4月1日にホンダが発した警告書によって悪しき評判が広まり、経営権、名誉権が損なわれたとして、賠償額を引き上げ、3億6,574万元の賠償金を請求した。河北省高級人民法院は、双環自動車が生産、販売する係争自動車がホンダの係争意匠権を侵害していないことを確認し、ホンダに対し、双環自動車に対する経済的損失5,000万人民元(合理的な権利保護費用を含む)の賠償を命じ、双環自動車のその他の請求については棄却する一審判決を下した。双環自動車とホンダの双方はいずれもそれを不服とし、最高人民法院に上訴した。最高人民法院は、双環自動車が生産、販売する係争自動車がホンダの係争意匠権を侵害していないことを確認し、ホンダに対し経済的損失1,600万元の賠償を命じる新たな判決を下した。

  コメント:

  本件は審理において管轄権異議、専利権侵害関連訴訟、係争専利権確認訴訟などに関する紛争に及び、審理は12年もの長きにわたった。本件判決では、非侵害確認に関する紛争と損害賠償に関する紛争という2つの異なる法律の関係が明らかにされたとともに、審理で明らかになった事実に基づき、原審法院により非侵害確認と損害賠償に関する紛争の事実においていずれも審理が行われ、また手続きにおいても当事者双方の訴権を保証することを基礎に、本件の請求原因が変更され、非侵害の確認および損害賠償に関する紛争であることが明らかにされた。

  本件判決では、権利者権利侵害警告を発して自身の合法的な権利・利益を守ることは、その民事権利の行使のあるべき筋道ではあるが、権利は合理的な範囲内で行使すべきだという点が明確にされた。権利者の権利保護の方法が適切であるか否かは、必ずしも被警告の行為が権利侵害にあたるか否かの最終結論を判断根拠とはせず、権利者の権利保護の方法が正当であるか否か、公平な競争秩序に反していないか、競合他社への攻撃が存在するか否かを判断の基準とする。権利侵害認定の専門性と複雑さから、権利者にその警告行為が構成する権利侵害の確かさの度合いに対して過度の要求をしてはならず、そうでなければ、権利侵害警告制度の正常な効用を妨げ、この類の制度の初志に反することとなる。

  本件判決は、権利侵害警告書発送の適法性、公平な競争の関係および市場取引を行う者のビジネスリスクなどから多角的に判断し、知的財産権侵害警告行為が結局正当な権利を守る行為であるということ、或いは不正競争行為に該当し、そしてそれによって発生する損害賠償を如何に審理するかという点について、細かく是非を論じ明確な判断を行い、知的財産権の権利者が権利侵害警告を通して権利を守る法規範を制定し、同類の事件の裁判に判例を提供した。これは当該分野の裁判尺度の統一に対しベンチマークとしての価値がある判決である。

集佳の最新動向

 
WIPO(世界知的所有権機関)視察団が集佳上海事務所を視察

 

  8月10日午前、WIPO(世界知的所有権機関)視察団は同済大学知識産権学院の朱雪忠学院長、法学院の程徳理副教授などの同席の下、集佳上海事務所に視察に訪れた。視察団のメンバーは、WIPO専門家のAnnette Kur博士(ドイツマックスプランク研究所教授)とWIPOの職員であるMartha Chikowore女史一行で、集佳知的財産権代理有限公司の祖侃副所長、集佳上海事務所の李文紅主任、上海事務所の駱蘇華専利事務ディレクター、上海事務所の李擘商標・法律事務ディレクターなどが同席し座談会が行われた。

  祖侃副所長がまず視察団に歓迎の意を表し、その後集佳の業務について詳細な紹介を行った。Martha Chikowore女史は、集佳の知的財産権分野の総合力を高く評価し、Annette Kur博士が関心のある独創性のある知的財産、意匠、実用芸術作品などのテーマについて祖侃副所長と踏み込んだ意見交換を行った。

  視察団は、WIPOが上海市政府と連携し、同済大学法学院/知識産権学院など著名な知的所有権院校を基盤として上海国際知識産権学院を立ち上げ、知的財産に関するハイレベル人材の育成を急ぎ、WIPOやEUなどの国際機関に国際法と国際慣例に精通した複合型の中国人材を送り出し、知的財産業界でトップの実務部門に幅広くかかわることを望んでいる。

  また、業界内での集佳の豊富な経験、着実な実務型学術研究の基礎的な技能、および長年同済大学、清華大学、華東政法大学、大連理工大学、浙江工業大学などの大学との協力によるハイエンドの知的財産人材の育成の経験は、いずれもWIPO視察団の高い評価を得ており、集佳は引き続き強みを生かし、交流・協力を続け、共に知的財産事業の発展を推し進めていくことを願っている。  

  座談会終了後、視察団一行と集佳の担当スタッフと楽しく記念撮影。