先日、最高人民法院は2009年知的財産権保護十大事例を発表し、集佳の商標代理人の馬強と張亜洲弁護士が担当したBMWの“世紀宝馬”商標の権利侵害及び不正競争の訴訟事件が選ばれた。これは2005年に集佳が担当した“夢特嬌”訴訟事件以来の入選である。
今回の十大事例は、各級の人民法院が末端から徐々に選抜し、推薦して決定している。本件の意義は、普遍的な法律適用の困難な問題を明確にしただけでなく、さらに大きな社会的影響を及ぼしたことにある。これ以前にも本訴訟は、中国外国投資企業協会優質ブランド保護委員会2009-2010年度中国知的財産権保護事例ベスト10の一つにも選ばれている。
事件のあらまし:
原告宝馬股份公司(以下、宝馬社と略称)は1916年に創立された世界的に有名な自動車メーカーである。その「BMW及び図」、「BMW」、「宝馬」商標は、中国商標局の審査許可、登録を経て、第12類「機動車両、オートバイ、その部品」での使用が許可されている。
一方、被告の深圳市世紀宝馬衣装有限公司(以下、世紀宝馬社と略称)、家多潤商業股份有限公司は、その生産、販売する衣料品に「MBWL及び図」、「MBWL」標識、ならびに「宝馬」の文字を含む企業名称を使用した。被告の傅献琴は世紀宝馬社の従業員として、世紀宝馬社に加盟保証金、商品代金の受け取りに自身の銀行口座を提供した。
湖南省高級人民法院は審理の結果、次のように判断した。即ち、原告の登録商標は長期の使用、広範囲にわたる宣伝を経てすでに著名商標となっている、原告は著名商標の権利者として、その合法的権利は法に則り法律の保護を受けるべきである、被告の世紀宝馬社が使用する「MBWL及び図」、「MBWL」、ならびに「宝馬」の文字を含む企業名称を使用することは、関連公衆に著名商標と被訴訟標識を使用した商品の出所について、混同と誤認を招きやすい。また、被告の?傅献琴は世紀宝馬社の従業員として、世紀宝馬社が権利侵害行為に従事していると明らかに知りながら、銀行口座をその使用に提供したことは、権利侵害行為の実施のために重要な便宜を提供したことになり、同様に商標権利侵害と不正競争が成立する。それ故、三被告に原告の登録商標専用権と不正競争行為による侵害の停止、影響の消し去りを命じ、世紀宝馬社と傅献琴には、原告に経済損失50万元を賠償するよう命じた。本訴訟は一審判決後、両当事者に上訴の意向が無く、すでに法的効力が生じている。
重要な意義:
本訴訟は、著名商標と比較的高い知名度を誇る企業の名称の法律保護に関わり、その裁判では「有名ブランドへのあやかり」、「便乗」と言った不正競争行為を効果的に抑制した。本件において、法院は、原告の登録商標の顕著性、市場での知名度を総合的に考慮し、法に則り原告の登録商標を著名商標であると認定し、更に被告のアパレル、衣料品上で原告の登録商標に類似の「MBWL及び図」、「MBWL」標識を使用し、被告の生産販売する商品が原告の授権を得ている、または原告から許諾を得て使用している、または関連企業関係等の特定な関係にあると関連公衆が誤認しやすいため、原告の著名商標の市場における名声を不正に利用して不法な利益をむさぼり、原告の合法的な利益に損害を与え、原告の登録商標専用権を侵害していると認めた。このほか法院は、更に他人の企業名称が比較的高い知名度があると明らかに知りながら、その文字の組合せを商号として登記し、商業的に使用することは、明らかに誠意信用の原則と公認の商業道徳に背き、故意に公衆を誤った方向に導く、典型的な不正競争行為に属すると明らかにした。
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