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No.91 Aug.28, 2013
 
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普陀山 中国・浙江
 
目 録
上半期中国3種類の特許出願受理量、百万件を突破
中国法院、初の商業秘密公開禁止命令を裁定
中国初の縦方向独占案終審:ジョンソン&ジョンソン、53万の賠償命令を受ける
最高法:外資の在中知的財産権紛争、顕著に増加
特許権利侵害者、同一特許の二度権利侵害、最高で20万元の罰金が可能
集佳の弁護する“VISA”商標異議再審理行政紛争案、一審勝訴 VISAを馳名商標に認定
集佳の弁護する阿姆斯壮社、商標権利侵害及び不正当競争案で終審勝訴
 
 
 
上半期中国3種類の特許出願受理量、百万件を突破

 

 今年上半期、中国国家知識産権局は、3種類の特許出願合計101.2万件を受理、同比で18.1%の成長となった。その中で発明特許出願は31.6万件、実用新案特許出願は39.7万件、意匠特許出願は29.9万件、同比でそれぞれ22.5%、25.6%、5.7%の成長となり、発明、実用新型、意匠の3種類の特許出願がそれぞれ総量の31.2%、39.2%、29.6%を占めた。全体としての出特許出願の受理総量の成長は緩やかになり、国内発明特許出願の成長が顕著であり、国内発明特許出願の中でも職務出願が8割を越えるという特徴を示した。

 受理した発明特許出願の中で国内出願が25.6万件、同比で27.4%の成長、発明特許出願総量の81.0%を占め、海外出願は6.0万件、同比で5.3%の成長、発明特許総量の19.0%を占めた。また国内発明特許出願の中で職務出願が20.9万件、81.6%を占め、非職務出願が4.7万件、18.4%を占めた。

 関連専門家によると、去年の同期と比べ、中国上半期の特許出願数と授権数には、次のような特徴が現れているという。即ち、特許出願受理総量の成長率は去年の同期と比べて明らかに緩やかになったが、国内発明特許の出願は著しい成長を見せており、同比の成長率は去年の同期と比べて5.6%の上昇となった。国内発明特許出願の総量に占める比率は8割を超える。国内発明特許出願の中で職務発明の割合が8割を超え、国内職務発明特許出願の中で企業出願の占める割合が連続7年、安定して7割前後となった。発明特許授権量が小幅な成長を見せ、実用新案特許の授権量が、急激な成長を見せた。

 
 
中国法院、初の商業秘密公開禁止命令を裁定

 
 在職期間中、会社の秘密書類を勝手にダウンロードしたとして、黄氏は米国のイーライ・リリー社(Eli Lilly and Company)、礼来(中国)研発有限公司(以下、礼来中国社と称す)に上海市第一中級人民法院に告訴され、裁判所に対し、黄氏の上記の商業秘密の公開、使用または他人の使用許容を禁止するよう求めたものである。近日、上海第一中等法院は黄氏に対し、米国イーライ・リリー社、礼来中国社が商業秘密として保護すると主張する21の書類内容の公開、使用または他人の使用許容を禁止するよう裁定を出した。

 これは中国国内で初の、今年1月1日に施行された民事訴訟法行為保全規定を元に出された商業秘密行為禁令であるという。

 
 
中国初の縦方向独占案終審:ジョンソン&ジョンソン、53万の賠償命令を受ける

 

 ジョンソン&ジョンソン社及びその代理店の間の“中国初の縦方向独占案”と呼ばれる訴訟が2レベルの裁判所にわたり、あしかけ3年にも及ぶ長い審理を経て、ついに決着がついた。8月4日、上海市高級人民法院終審では、次のように宣告された。ジョンソン&ジョンソンに医療用縫い糸製品の価格操作の疑いがあるため、ジョンソン&ジョンソンに対し、その代理店——北京鋭邦涌和科貿有限公司(以下、“鋭邦社”と略称)に対して経済的損失53万元を賠償するよう命じる判決が出された。

 ジョンソン&ジョンソンの医療用縫い糸、吻合器等の医療機器製品の代理店として、鋭邦社とジョンソン&ジョンソンは、15年の代理協力関係があり、双方の代理契約は1年に1回締結されてきた。2008年1月に締結した年度代理契約中、双方は次のように取り決めた。即ち、鋭邦社がジョンソン&ジョンソンの指定する地区でジョンソン&ジョンソン旗下の某製品を販売する必要がある場合、その期間中、鋭邦社はジョンソン&ジョンソンの規定する価格以下で製品を販売してはならない、と。

 当年3月、鋭邦社は北京大学人民医院で挙行されたジョンソン&ジョンソンの医療用縫い糸の販売入札募集において、最低価格見積もりでこれを落札した。ジョンソン&ジョンソンは、鋭邦社の低価格で入札を争った行為に対し、警告を出した。その後、ジョンソン&ジョンソンは、さらに次々と鋭邦社の一部の病院における代理販売権を取り消し、最終的には、縫い糸製品、吻合器製品の製品供給を完全に停止した。2009年、ジョンソン&ジョンソンは、鋭邦社との代理販売契約を更新しなかった。

 2010年8月、鋭邦社は強生(上海)医療器材有限公司、強生(中国)医療器材有限公司を裁判所に告訴した。2012年5月、上海市第一中等法院一審では、鋭邦社の挙証が不足しているとして、その訴訟請求を却下したが、鋭邦社はその後、上訴した。最近になって、上海市高院は審理を経た後、本案には《独占禁止法》が適用される、と見なした。ジョンソン&ジョンソンが代理店に対し、その規定を下回らない価格で製品を販売する行為は、独占行為に当たる。このため裁判所は原判を撤回し、ジョンソン&ジョンソンに有効日から10日以内に鋭邦社に対し、経済損失53万元を賠償するよう命じる判決を出した。但し、鋭邦社のその他の訴訟請求は却下した。

 縦方向独占とは、同一業界内の2社またはそれ以上の、異なる経済レベルにあり、直接の競争関係にはないが、売買関係にある経営者が、明示もしくは默示により競争の排除、制限を行う行為を指す。

 
 
最高法:外資の在中知的財産権紛争、顕著に増加

 
 近日、最高人民法院民三庭(知的財産権審判庭)の孔祥俊庭長在は、メディアの取材に答えた際、次のように表明した。即ち、経済グローバル化が進みつつある中、国家貿易と投資保護主義が抬頭してくるという背景に伴い、中国の裁判所でもこれまでと同様に外国権利者の知的財産権保護を強化しており、裁判所で審理する外国に関わる知的財産権案件は、明らかに増加の傾向にある、と述べた。

 最高人民法院から提供された関連データを見ると、2012年、全国裁判所系統で審結した知的財産権民事一審案件は合計83、850件、2011年の同比で44% の成長と示す。その中で審結した外国関連の知的財産権民事一審案件は合計1、429件、同比で8.18%の増加となっている。

 公式データを見ると、2013年1月から5月までに、全国裁判所系統では知的財産権民事一審案件を合計24、544件審結させ、前年同期と比べ36.6%の成長を示す。その中で外国に関わる案件は504件である。

 庭長の紹介によると、裁判所で現在、受理した知的財産権案件の分野は広く、新たな案件タイプが次々に登場しているという。著作権、特許、商標、不正当競争および技術契約等といった従来分野の知的財産権案件があるだけでなく、さらにはネットワーク著作権、コンピュータソフトウェア著作権、民間文学芸術、地理的表示、企業名称、馳名商標司法認定、無形文化財と独占禁止等の新しい分野の知的財産権案件もあるという。

 
 
特許権利侵害者、同一特許の二度権利侵害、最高で20万元の罰金が可能

 

 近日、北京市人大常委会審議《北京市特許保護と促進条例(改訂草案修正稿)》の審議に際し、特許権利侵害紛争において行政処理が決定するか、もしくは裁判所の判決が有効となった後、同一の権利侵害者が同一の特許権を再度侵害した場合、北京市特許管理部門が是正を命じ、違法所得を没収し、二万元以上二十万元以下の罰金を課すことができる、と提示した。

 同時に北京市特許管理部門が法に則り、権利侵害行為を制止する際、権利侵害者が行政処理決定を拒否して履行しない場合、北京市特許管理部門は関係製品ならびに設備、鋳型等の生産工具を没収してもよい、とした。

 
 
集佳の弁護する“VISA”商標異議再審理行政紛争案、一審勝訴 VISAを馳名商標に認定

 

 北京市集佳弁護士事務所の担当する原告・維萨国際服務協会と被告・国家工商行政管理総局商標評価審査委員会、第三者・杜漢武の“ ”商標に関する異議再審理行政訴訟案件が、北京市第一中級人民法院で審理され、一審判決が出された。

 原告のクレジットカードVISAは、広く中国の消費者に使用され、熟知されているブランドであり、中国の第16類“印刷銀行カード、旅行小切手”等の商品上及び第36類“クレジットカードとローンカード・サービス、旅行小切手サービス”等のサービス項目において、すべてト“ ”商標を登録している。

 中国国内の自然人・杜漢武は2005年12月12日、“VISA”を“ビール、飲み物製造用濃縮液”等の商品を指定して登録を提出した。原告・維萨服務協会は、この被異議商標について、商標評価委員会に異議再審理申請を提出したが、商標評価委員会の出した異議再審理裁定を不服とし、北京市第一中級人民法院に行政訴訟を起こした。

 北京市第一中級人民法院は審理を経て、次のように判断した。即ち原告・維萨協会は早くも1980年と1993年には、第16類と第36類上で“VISA”商標を登録し、商標評価審査段階及び訴訟過程で提出された証拠により、被異議商標の登録申請日以前、上記の商標は維萨協会の大量、持続的な宣伝と使用を通じて、中国において広く消費者の間で巨大な影響をもち、公衆に熟知されていることを証明することができている。それはもはや広く知られる「馳名」の程度にまで達しており、「馳名商標」が成立する。

 これと同時に、中国の経済発展に伴い、カード決済による消費、ネット決済ならびに海外でのクレジットカードによる支払いは、もはや商品流通システムの重要な構成部分となっており、すでにこれまでの伝統的な現金支払い形式に取って替わり、中国の消費者が最もよく知る消費方式となりつつある、と認定した。被異議商標に指定使用するビール等の商品は、広く消費者にとってよく見られる日常消費品であり、しかも維萨協会の馳名商標登録は、“印刷銀行カード、旅行小切手”と“クレジットカードとローンカード・サービス、旅行小切手サービス”上で申請され、両者は販売ルートならびに消費対象上、非常に密切な関係にある。被異議商標と上記の馳名商標は、完全に同じであり、消費者がカード決済消費をする際、被異議商標が印刷された商品を維萨協会またはその関連企業から来たものだと誤認し、関連公衆を誤導し、ひいては維萨協会の利益を損じる可能性もある。北京市第一中級人民法院は、商標評価審査委員会が、原告が商標法第十三条を元に提出した異議再審理申請を支持しなかったのは誤りである、と判断し、商標評価審査委員会の異議再審理裁定を取り消す判決を下し、再度裁定をするよう命じた。

 
 
集佳の弁護する阿姆斯壮社、商標権利侵害及び不正当競争案で終審勝訴

 

 《FORTUNE》世界トップ500企業である米国アームストロング(阿姆斯壮)社にはすでに150年余りの歴史があり、世界8カ国に32箇所の工場を設立させ、世界的な天井板、つり天井、フローリング・システムならびにシステム・キッチン方面の生産者及び市場のリーダーとなっている。アームストロング社は1995年に中国に進出して以来、中国への投資・興業を続け、中国経済とともに発展・進展を遂げ、公衆の間に良好な商業イメージを作り上げ、業界内で高い知名度を蓄積してきた。

 ところが“阿姆斯壮”が次第に中国建材市場上の知名ブランドとなるに伴い、権利侵害行為もこれに伴い、やってきた。

 安徽阿姆斯壮建材有限公司は2011年9月5日に設立され、“阿姆斯壮”をブランドとして鉱物ウール装飾吸音板を生産・販売する。安徽阿姆斯壮建材有限公司の生産・販売する鉱物ウール装飾吸音板は、室内つり天井に使い、かつ“阿姆斯壮”の名を冠するため、その企業名称にも“阿姆斯壮”が含まれる。

 このためアームストロング社は、アメリカの弁護士を通して、何度も集佳弁護士事務所と協力し、解決方法を模索した。2012年5月、アームストロング社は正式に集佳に委託し、登録商標専用権の侵害及び不正当競争を理由として、北京市第二中級人民法院に民事権利侵害訴訟を起こした。この案件の背景は繁雑かつ複雑なため、幾度にもわたる法廷審理を経て、最終的に2012年12月、一審判決が出された。これにより安徽阿姆斯壮建材有限公司の権利侵害の訴えを受けた鉱物ウール装飾吸音板の生産・販売行為は、アームストロング社が先行登録し、かつ有名な“阿姆斯壮”、“Armstrong”登録商標専用権を侵害しており、安徽阿姆斯壮建材有限公司が訴えを受けた権利侵害商品上でその企業名称を使用することは、不正当競争が成立する、と判断した。

 一審判決後、安徽阿姆斯壮建材有限公司はこれを不服とし、北京市高級人民法院に上訴した。2013年7月、北京市高級人民の終審判決では、安徽阿姆斯壮建材有限公司の上訴を却下し、北京市第二中級人民法院の一審判決を支持した。