ジョンソン&ジョンソン社及びその代理店の間の“中国初の縦方向独占案”と呼ばれる訴訟が2レベルの裁判所にわたり、あしかけ3年にも及ぶ長い審理を経て、ついに決着がついた。8月4日、上海市高級人民法院終審では、次のように宣告された。ジョンソン&ジョンソンに医療用縫い糸製品の価格操作の疑いがあるため、ジョンソン&ジョンソンに対し、その代理店——北京鋭邦涌和科貿有限公司(以下、“鋭邦社”と略称)に対して経済的損失53万元を賠償するよう命じる判決が出された。
ジョンソン&ジョンソンの医療用縫い糸、吻合器等の医療機器製品の代理店として、鋭邦社とジョンソン&ジョンソンは、15年の代理協力関係があり、双方の代理契約は1年に1回締結されてきた。2008年1月に締結した年度代理契約中、双方は次のように取り決めた。即ち、鋭邦社がジョンソン&ジョンソンの指定する地区でジョンソン&ジョンソン旗下の某製品を販売する必要がある場合、その期間中、鋭邦社はジョンソン&ジョンソンの規定する価格以下で製品を販売してはならない、と。
当年3月、鋭邦社は北京大学人民医院で挙行されたジョンソン&ジョンソンの医療用縫い糸の販売入札募集において、最低価格見積もりでこれを落札した。ジョンソン&ジョンソンは、鋭邦社の低価格で入札を争った行為に対し、警告を出した。その後、ジョンソン&ジョンソンは、さらに次々と鋭邦社の一部の病院における代理販売権を取り消し、最終的には、縫い糸製品、吻合器製品の製品供給を完全に停止した。2009年、ジョンソン&ジョンソンは、鋭邦社との代理販売契約を更新しなかった。
2010年8月、鋭邦社は強生(上海)医療器材有限公司、強生(中国)医療器材有限公司を裁判所に告訴した。2012年5月、上海市第一中等法院一審では、鋭邦社の挙証が不足しているとして、その訴訟請求を却下したが、鋭邦社はその後、上訴した。最近になって、上海市高院は審理を経た後、本案には《独占禁止法》が適用される、と見なした。ジョンソン&ジョンソンが代理店に対し、その規定を下回らない価格で製品を販売する行為は、独占行為に当たる。このため裁判所は原判を撤回し、ジョンソン&ジョンソンに有効日から10日以内に鋭邦社に対し、経済損失53万元を賠償するよう命じる判決を出した。但し、鋭邦社のその他の訴訟請求は却下した。
縦方向独占とは、同一業界内の2社またはそれ以上の、異なる経済レベルにあり、直接の競争関係にはないが、売買関係にある経営者が、明示もしくは默示により競争の排除、制限を行う行為を指す。
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